幼稚園教育がいかに人生を左右するかについて、アメリカのカンザスシティに住むロバート・フルガムさんは、その著書『人生に必要な知恵は、すべて幼稚園の砂場で学んだ』の中で、次のように述べています。
  「人間、どう生きるか、どのように振舞、どんな気持ちで日々を送ればいいか、本当に知っていなくてはならないことを、私は全部残らず幼稚園で教わった。人生の知恵は大学院という山のてっぺんにあるのではなく、毎日通う幼稚園の砂場に埋まっていたのである。 私はそこで何を学んだろうか。
  何でもみんなで分け合うこと・ズルをしないこと・人をぶたないこと・使ったものは必ず元の所に戻すこと・散らかしたら自分で後片付けをすること・人の物に手を出さないこと・誰かを傷つけたら、ごめんなさいと言うこと・食事の前には手を洗うこと・トイレに行ったらちゃんと水を流すこと・焼きたてのクッキーとミルクは身体にいい・釣り合いの取れた生活をすること−−毎日、少し勉強し少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして少し動くこと・毎日早く寝て早く起きること・表に出るときは車に気をつけ、手をつないで、離れ離れにならないようにすること・(中略)
  人間として知っていなくてはならないことは全て、この中に何らかの形で触れてある。ここには、人にしてほしいと思うことは、自分もまた人に対してそのようにしなさいという精神、愛する心、健康や衛生の基本が述べられている。エコロジー、政治、それに平等な社会や健全な生活についての考察もある。
  この中から、どれなりと項目を一つ取りだして、知識の進んだ大人向けの言葉に置き換えてみるといい。そして、それを家庭生活や、それぞれの仕事、国の行政、更には、世間一般に当てはめてみれば、きっとそのまま通用する。明快で揺るぎない。私達みんなが、そう、世界中の人々が、3時のおやつにクッキーを食べてミルクを飲み、ふかふかの毛布にくるまって眠ることができたなら、世の中どんなに暮らしやすいことだろう。あるいはまた、各国の政府が使ったものは必ず元の場所へ戻し、散らかしたら自分の手でかたづけをすることを基本政策に掲げて、これをきちんと実行したら世界はどんなに良くなるだろう。
  それに、人間はいくつになっても、やはり、表に出たら手をつなぎ合って、離れ離れにならないようにするのが一番だ」