幼児期から児童へ移行する時代
  満5歳になるまでの生後5年間はあらゆる面で急速な発達がなされる時期です。この5年間に比べると、6歳から12歳くらいまでの児童期の発達は比較的ゆるやかなものです。5歳児はちょうどその狭間に位置しています。4歳までの子どもは感情の動きが激しく、その表現の仕方も直接的ですが、5歳児は、かりに強烈な感情が生じているときでも、その表現の仕方を合理的なものにすることがある程度はできます。このように、5歳児という時期は激動の幼児期から安定の児童期への橋渡しの時期なのです。「幼児」から「児童」になるための準備期間とともいえるでしょう。
がまんができはじめる時代
  強烈な感情を合理的に表現できるということは、5歳児に自己統制の能力が生まれてきたことを意味しています。5歳児は身体ばかりでなく感情をコントロールできるようになっているのです。自分の欲求がすぐにかなえられなかったからといってかんしゃくを起こすことも少なくなり、欲求不満に耐え、自分の願望の充足を先に延ばして、がまんして待つということが多少なりともできるのです。
ルールのある遊びができる時代
  現実認識を深めつつある5歳児は現実の社会には様々なルールや役割があることを理解しはじめています。その兆候は5歳児の遊びにハッキリと示されます。5歳児は鬼ごっこのような遊びやルールに従って勝負を決めるゲームを好んで遊びます。もちろん、これらの遊びは他児と協力しあうことでできる遊びです。他児との協同遊びは5歳の中心的な位置をしめているのです。しかし、5歳児のルールを守る力はまだまだ完全ではありません。ルールのあるゲームをしながらも最後にはメチャメチャになることもしばしばです。
  また、5歳児は常に協同遊びばかりを好むわけではありません。お絵描きや粘土遊びなどのひとり遊びも好んでします。他児との協同遊びは5歳児にとってはかなり緊張を強いられるものでもあります。ひとり遊びはその緊張をやわらげる役割をもっています。協同遊びとひとり遊びを繰り返しながら、6歳以降のルールのあるゲーム中心の世界に入る準備をしているのです。
人間関係をひろげていく時代
  5歳児にとって遊び仲間は重要な存在です。友達の意見や態度が大きな影響力をもってきます。その分だけ両親との関係や兄弟姉妹関係が希薄になったように感じる親も少なくないでしょう。たしかに、5歳児は3歳児の弟や母親と遊ぶより友達との遊びに熱中するかもしれません。しかし、これは望ましいことですし、安定した親子関係を持ち、家庭が安全の基地になっているからこそできることなのです。一方友達遊びができないからといって非常に心配する親もいます。そのような親は、子どもは安定した親子関係を通して友達関係を築いていくということを忘れてはなりません。無理矢理に仲間に入れさせようとするよりも、親子関係を信頼に満ちたものにする努力から始めることが大切なのです。