急速な発達からおだやかな発達への移行時代
  4歳という年齢は誕生以来ずっと続いてきた急速な発達の最後の時期です。4歳の 誕生日から満5歳になるまでの1年間に身体的にも精神的にもめざましい発達を遂げます。
  5歳以降はこれまでのようなスピードで発達が進行することはありません。急速な発達が進行している時期は不安定な側面も有しているものです。依然として4歳児は心の安定を図るために両親の助けを必要としますし、強い恐怖心を示したり、かんしゃくを起こすこともあります。しかし、3歳児に比べれば心の動揺はずっと少なくなっているのです。
有能な人間でありたいと願う時代
  3歳児は自分が他人とは異なる独自性をもった存在だということを自覚し、さかんに自己主張をします。4歳児は自己を主張するだけでなく、自分とは何かを解き明かそうと懸命になっています。家族との関係や友達との関係を通じて、自分がどのような存在で、自分自身とは何なのかを探求し続けているのです。4歳児が親の手伝いをしたがるのは自分は役に立つ有能な人間だと自分で確信したいからにほかなりません。そう確信することで「自分とは何か」という問題に決着をつけようとしているのです。そのような努力を積み重ねながら、子どもはしだいに自分自身に対する信頼を高めていきます。3歳児に比べて心の動揺が少ないのはそのためであるのです。
現実の世界を知ろうともがく時代
  4歳児は自己を認識しようともがいているばかりでなく「現実の世界」についての認識を深めることにもきわめて熱心です。4歳児はまだまだ自分だけの空想の世界に強くとらわれていますが、子どもたちは遊びを通して、空想と現実の区別をつけようと懸命なのです。「自己や現実社会」の探求に熱心な時期は青年期にもう一度訪れますが、4歳児期にこの探求を十分にすることがすることができた子どもは、嵐のような青年期も逞しく乗り越えることができるでしょう。
想像的な遊びを好む時代
  4歳児は想像遊びが大好きです。想像力を一杯使って、お母さん役を演じたり、赤ちゃん役になったり、お医者さんになったり、患者になったりしながら、母親はどのような存在なのか、赤ちゃんはどのような存在なのか、世話するということはどういうことなのかを学ぼうとしているのです。ごっこ遊びは想像の遊びの出来事ですが、想像の世界で遊びながら、子どもたちは現実の世界を理解しようと努めているのです。4歳児の遊びのほとんどは他児との遊びに費やされます。しかし、他児と遊んでいても必ずしも、他児と協同遊びは大人の手助けなしには上手にできないのです。しかし、他児と一緒に遊びながら、そして、想像と現実の世界を行き来しながら、しだいに、現実の社会のルールや人間関係のあり方を学んでいっているのです。
家庭を安全基地として育つ時代
  多くの4歳児は園での生活という家庭以外の生活の場をもっていますが、子どもたちにとって最も重要な場であり、子どもたちの「安全の基地」となっているのはあくまでも家庭です。両親に対する感情も3歳までの子ども同様に激しいものです。両親の愛と保護を強く求め、男の子は父親に、女の子は母親に強い同一視を示し、父親や母親のようになりたいと思うばかりでなく、父親や母親をしのぐ存在になって、父親と母親にとって代わってその地位を得たいと思うことさえあるのです。時には「お母さんと結婚したい」「お父さんのお嫁さんになりたい」と口に出して言うこともあるかもしれません。4歳児のこのような感情は成長への動機付けになっているのです。5歳児がこのようなことを言わなくなるのは現実認識がより深まるからなのです。