行動の自立から心の自立が芽生える時代
  ぼく、できたんだよ」「お母さん、ぼくね、ここ跳べたんだよ」と話しかけながら目を輝かせ、同じところを何度も跳んでみせます。歩く、走る、登る、投げるといった人間としての基本的な動作ができるようになったことに誇りをもち、そのことを身近な人、特に両親に知らせようとします。自分の気持ちを表現する喜びに支えられて、努力する力、自分の考えを伝える力を身に付けて、そのことに大きな満足感と誇りを感じていきます。3歳児は、行動の自立が心の自立を促している時代に生きていることを留意したいものです。
感情に彩られた好奇心の時代
  「これなぁに?」3歳児は、自分のまわりにあるものや、身近に起こったことに大きな興味を寄せ「これなぁに?」「どうして?」と母親が根負けするほど、次から次へと自分なりに納得するまで問いかけてきます。こうして自分の中に、その子なりに自分の知識の世界を「かわいいな」とか「こわいよ」といった感情で彩りながら、身に付けていきます。彼らの驚きや感情を真剣に受けとめ「なぜ、こうなったんだろうね」と一緒に考えていくことが彼らの知識欲と知識を豊かにする土台です。
自分の世界を築く時代
  「これ、ぼくつくったんだよ」3歳児は見立てて遊ぶことが大好きです。お母さんのテーブルに置いた空箱を電卓に見立てたり、赤ちゃんのベッドに見立てたりして遊びます。砂場にどっしり腰をおろして、あきもせず、だんごを作っているかと思えば、部屋にかけこんできて、目にふれた新聞を破っていると「ワンワン」と言いながら台所で仕事をしている母親に見せにきます。母親の喜ぶ姿を見て、もっと上手に作ろうと努力します。このような活動の中で、子どもたちは、遊具を使う手のしなやかさと素材をとらえる目を確かにし、自分の世界を築いていきます。
反抗を通して社会ルールを発見する時代
  「ぼく、いやだ」機嫌良く遊んでいたかと思えば、突然不機嫌になって、ことごとく母親に反抗することがあります。母親が台所で仕事をしている間、園からもらってきた絵本に見入っていた3歳児が、すくっと立ち上がるとたまたま目に付いた茶托をテーブルから2つ取り出し、打ち付けて遊び始めました。自分では上手にリズムをとっているつもりなのでしょう。時々自慢げに母親の顔を見上げます。「ダメでしょう。いたずらしちゃ」とせっかく園で覚えた歌を上手に聞かせてやっているのに、母親に叱られます。母親が茶托を取り上げようとすると「いやだ、これぼくのだ」と言ってききません。「近頃お母さんの言うことを聞かない子だから、あなたを隣のこわいおじさんにあげますよ」といわれ、足をバタバタさせて大声で泣きはじめたりします。3歳児はこのような反抗を体験しながら、自分の世界を作り上げるとともに、社会的なルールを発見し、自分をコントロールする力を身に付けていきます。
誇りに満ちたおしゃべりの時代
  「お母さん、あのね」母親は、又始まったと思います。今日園であったこと、驚いた こと、嬉しかったことを母親に伝えようとしているのです。こんな時、ニコニコしながら耳を傾けていると際限なくその話が続くように感じます。しかし、満足いくまで話すと、可愛い笑顔を浮かべて立ち去り、ひとり遊びに没頭します。まるで母親が自分を信頼して話を聞いてくれた嬉しさをかみしめながら遊んでいるようにも見えます。
  3歳児はおしゃべりの時代です。おしゃべりしながら、自分の驚きや感動、喜びや悲しさの世界に自分なりに理解できる知識の世界を織り込んでいくのです。子どもの話に耳を傾ける母親にとってはとても長い時間に感じられても、じっくり聞いてあげれば実は短い時間です。この短い充実した時間を背景に、しつけを含め3歳児の子育ては展開されているといっても過言ではないのです。